あるところにひとりの少女がおりました。

名前をみちると言いました。

みちるはそれは可愛い女の子でしたが、まだガキでした。

「みちるはガキじゃないっ!」

…その『ガキ』なみちるは分不相応にもただいま恋の真っ最中なのでした。

「みちるはれっきとした『れでぃ』だもんっ!」

…さてさてこの恋どうなりますやら。続きはまた次回ということで…

「これから始まるのっ!!」

どげしっ♪


     みちるは悩めるお年頃


今日も今日とて道端で大道芸の真似事を行っている国崎往人。
一人で人形を動かしているが、その姿は人形と戯れているように見えなくもなく
どこかしら怪しい雰囲気を醸し出していた。

客はなく、汗だくになりながら人形を操る様子が貧乏暇なしといった感じでいとあわれかもしれない。

「だぁーーーっ!!暑くてやってられっかっ!」

そう叫んで天を仰ぐ。
その横を眉を顰めながら通りすぎる通行人。
よほどアブナイ人だと思われているのだろうか。
世間の風は冷たい、と思う往人だった。

「普通だったら大丈夫ですかの一言でも出てくるもんじゃないのか…」
世の中そんな人間ばかりだったら今、往人は文無しではあるまい。
現実の厳しさを腹の音と共に痛感させる今日この頃、である。

「仕方ない、今日も観鈴ん家に厄介になるか…」
そう言って往人が腰を上げた時。

ょわーー

にょわーーーー

「にょーーーーーーーーーーわぁーーーーーーーーーーっ!」
どげしっ!!

助走を付けて放ったみちるのドロップキックが往人の側頭部に突き刺さる。

「こんなとこで何やってんの!?国崎往人!って、にょわっ!?」
返事がない、ただのしかばねのようだ。

「勝手に殺すなっ!!」
…地の文に突っ込むな。

「はぁはぁ…。てめぇこらみちるっ!いきなり人様の頭に蹴り入れんじゃねぇっ!いっぺんイワスぞコラァ!」
何を。

「ふんっだ。ショック与えて使われてない脳を活性化させてあげようとしてあげたんだぞっ!感謝しろっ!」
本当は会えて嬉しかったための行動だったのだが、恥ずかしくてそれは言えない。
なかなか素直にはなれないお年頃なのである。

しかし頭の中身はみちるとさして変わらない往人のこと。
そんなみちるの気持ちを察するなどできるはずもなく。

「このクソガキやっぱ今イワス!」
だから何を。

と、いつものファイトが始まる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・

ようやく騒ぎが収まって。

「はぁはぁ…ん、そういや遠野は今日はどうした?一緒じゃないのか?」
ふと気付いた往人が尋ねる。

「今日は一緒じゃないよ。何、美凪が一緒じゃなきゃ嫌なわけ?」
口には出さないが内心は恐々とみちる。その気持ちを往人が汲んでやればいいのだが…

「うん、ヤダ」
サルには無理であった。

「じゃあみちるは?どういう存在なの!?」

「おまけ」

〜おまけ〜
メインについて来る付属品。裏を返せばあってもなくても同じこと、と言える。
例)ボールにマグネットコーティングがついていること、等。
                                        〜広辞苑(ウソ)〜

恋心を抱く少女にとって、これは止めの一撃である。

「うっ…ううっ…うわぁーーーん!国崎往人のダルシム野郎ーーーーっ!」
「?」

意味不明の捨て台詞を残し走り去るみちる。
おそらくは「さすがにそれはマズイよ、人として」というニュアンスを含めたのだろう。
しかし往人は格ゲーは知らなかった。

「…まぁいいか。それより帰って観鈴に何か食わせてもらおう。じゃなきゃマジで死ぬ」
女の子を泣かせておいてそれはないだろうと思われるところだが、
さすがは往人といったところか、後を追って慰めるという行為は脳にインプットされていなかった。









ところ変わってここは駅前。

往人の言葉に傷ついたみちるが訪れるのは、当然親友の美凪の所だった。

「うえーーん美凪〜。国崎往人が、あのケダモノがぁ〜(泣)」
「…国崎さんがどうしたの?」
美凪はいつだって冷静だ。
「えっへん」
別に褒めたわけではないデスよ、美凪さん。

「みちるの純な乙女心を踏みにじったんだよ〜。一世一代の大告白だったのに(泣)」
どこが?

そんなみちるに美凪は真剣な目を向ける。
「…みちる、あなたはこれから三つの道を選択できます。一つは自分の死を受け入れて天国へ行くこと。
もう一つは現世をさまよい続けること。最後は自分を殺した人間を、呪い殺すこと…」

「にょわっ!?美凪から変な電波が飛んでるっ!美凪っ、戻って来てっ!」

「うふふ…うふふふふ…」
目がもう逝ってらっしゃる美凪さん。
「あわわわわ…(大汗)」
後ずさるみちる。

「冗談です。みちる、そんな怖がらないで」
「あわわわわわ…(ブクブク)」
遂に泡を吹いて倒れるみちる。
・・・・・・・・・・・・・・・

その後回復したみちるから事情を聞いた美凪さん。
「みちる?多分国崎さんは恥ずかしがってるだけだと思うの。みちるはすごく魅力的だから」
とは言ってみるものの、本当の所は美凪も分かっていた。
「真実はいつも一つ、です」
なるほど、原因は明白である。

往人はロリっぽい娘は好きである。が、本物のロリではない。
よってコドモはのーがんちゅー。

「んに…そうか、みちるがいけないんだね。魅力的なのがアダになるとは…。国崎往人も
そんなことで悩まなくてもいいのに…」

美凪、心の中で高笑い。
あっはっはーガキが何言いやがりますか、と。

しかし表面にはおくびにも出さない。
女は怖い。そう思わせる瞬間である。

「ねぇ美凪、これからみちるはどうすればいいと思う?確かにアイツはうだつの上がらない大道芸人だけど、
みちるは全然気にしないよ!アイツといられるだけでみちるは幸せなんだよ…」
「…アイツ?」
みちるの言葉に思わずピクリとくる美凪。
自分だってまだ国崎さんどまりなのに。

気持ちを抑えて言葉を紡ぐ。
「…やっぱりみちるが素直に好きだと告白するのがいい…と、思います」
(無理だから、ええ無理だから。逆立ちしたって無理だから。)
言葉と心のギャップが甚だしいです、美凪さん。

「そうか、うん、そうだね!思いのたけをぶつけてくるっ!そうすれば国崎往人も恥ずかしがる必要ないし!
よ〜し万事解決っ♪」

そうなれば善は急げと、全速力で走っていくみちるを見ながら美凪は思う。

(さて、みちるが帰ってくるまでに次に何をさせるか考えておかないと♪)



さて、美凪の確信に満ちた予想は数十分後に現実となるわけだが

(それにしても国崎さん、私をメインと思ってくれてるんですね…。これはお米券進呈ですね♪)

そしてまた美凪の邪な考えのもとに練られた計画が実行されるわけだが

「くすっ♪」

それはまた、別のお話。




   続くかっ!!


後書き

ペペ「コメディはムズイ。以上。」

美凪「…オチのないコメディに意味はあるんでしょうか…?」

ペペ「いきなり厳しいお言葉ですね、ナギー。」

美凪「それと…私の台詞の『三つの道が…』というところ、アレはなんですか?」

ペペ「む、あれはな、ドラマ化もされてる某マンガに出てくる妖しげな女の人が毎回言う台詞なんだ。」

美凪「今回その台詞をパクった目的は…?」

ペペ「特にはないな。ただ入れてみたかったんだ。」

美凪「……」

ペペ「あの〜美凪さん何故にそんな黒いオーラが…(汗)」

美凪「SSをなめてますね…。ちょっと再教育の必要アリ、ですか?」

ペペ「ちょっ、まっ、ギ、ギャァアアアア…!!!」

美凪「くすくす♪(どがばき)御意見(ずしゃめき)御感想は(ごすっごすっ)掲示板へお願いします…♪」